ソーラーパワーとは?
ソーラーパワーは、地表に届く太陽エネルギーを直接熱として利用する場合もあれば、太陽電池を介して電気に変換する場合もあります。太陽のエネルギーを利用する手段としては、スタンダードな太陽電池がもっとも効率がいいと思います。太陽からの熱をそのまま熱源として利用する場合は、太陽熱反射板で太陽の熱エネルギーを一点に集中させます。それを利用して蒸気タービンを回して発電することができます。
ソーラーパワーは、もっともクリーンなエネルギー源のひとつと言われています。長年にわたって、ソーラーパワーの活用方法は、エネルギー自給率の向上、化石燃料の使用量削減、地球の生態系の持続可能性の向上のために発展してきました。
図1;ソーラーパワーはクリーンなエネルギー源
太陽エネルギー?
太陽光は1時間半で太陽から地球に届き、地球全体の電力を1年分まかなうことができるすごいエネルギーです。このエネルギーを、私たちが利用可能な電力に変換するのがソーラーテクノロジー(太陽電池の技術)です。発電された太陽光発電による電気は、バッテリーや蓄熱器に蓄えることができます。
太陽光発電はすべて、太陽から放射される日射に由来します。地球上のどの場所でもある程度の日射がありますが、世界的に見ると日射量にはばらつきがあります。ソーラーテクノロジーは、この日射を有用なエネルギーに変換するための技術です。太陽電池や太陽熱変換器の力を借りてエネルギーが利用できるようになります。
太陽電池セルの基礎知識
太陽電池は、太陽エネルギーを利用するためのもっとも一般的な方法です。太陽光がソーラーパネルに当たると、太陽電池セルに吸収され、電気に変換されます。太陽電池セルは1枚で約1ワットの電力を発生させることができます。このセルは通常、人間の髪の毛の太さよりも薄いんですよ。屋外での使用に耐えられるように、ガラスのカバーとプラスチックの土台の間にセルをはさみます。
太陽電池セルは、、鎖のようにつなぎ合わされて1枚のソーラーパネルになります。このソーラーパネルは個々に使用することも、連結してソーラーアレイを構成することもできます。その後ソーラーアレイは、太陽光発電システムとしてグリッド(電力網)に接続することができます。太陽光発電システムは、パネルがひとつひとつ集まっているようなモジュール式なので、家の大小にかかわらず、必要に応じて拡張することができます。
ソーラーパネルとソーラーアレイは、どちらも太陽光発電システムのひとつの部分だと言うことができるでしょう。完成型の太陽光発電システムには、パネルの架台や、太陽光で発電した直流電力を、家電で使える交流電力に変換する機器も含まれます。
アメリカでは、カリフォルニア州にもっとも多くの太陽光発電システムが設置されています。カリフォルニアには十分な日照量がありますし、太陽エネルギーに対してそれを推し進める政策を行っているためです。そのため、全米でも有数の太陽光発電産業が発達しています。たとえば、カリフォルニア州のSolar Star PV発電所は579MW、Topaz Solar Farmは550MWの電力を生産しています。
ソーラーパネルの効率は?
太陽電池セルの効率とは、太陽エネルギーを利用可能な電力に変換できる量のことです。太陽電池セルの効率を上げることは、世界中の研究者が目指している目標です。そうすることで、従来の電力源と比較して太陽エネルギーのコスト競争力を高めることができますからね。太陽電池セルの効率には、いくつかの要因が影響してきます。それは何かというと:
- 波長
光は光子から構成されていて、異なる波長を持つエネルギーの塊のようなものです。太陽光は、紫外線から可視光線、赤外線まで、さまざまな波長を持っています。太陽電池セルの表面に光が到達すると、光子の一部は通過し、一部は反射していきます。光子の一部だけが吸収され、電気が作られるのです。
- 再結合
半導体に電子が流れると電流が流れます。しかし、半導体の中には、電子が不足している正孔というものが存在します。正孔と電子が出会ってそれぞれ打ち消し合うこともあります。また、打ち消して光子を発生させることもあれば、電流の流れを妨げる不純物と出会って、代わりに熱を発生させることもあります。
- 温度
太陽電池セルは低温でいちばんよく機能します。高温になると半導体の性質が変化し、電流がわずかに増加して電圧が低下します。極端な温度変化は、セルや他の材料にダメージを与える可能性もあります。
- 反射
未処理のシリコンは、入射光の30%以上を反射してしまいます。この問題を軽減するために、反射防止コーティングやテクスチャーを施した表面加工を使用する方法があります。
太陽光発電システムの設計の基礎
太陽光発電システムは、ソーラーパネルといくつかの部品で構成されています。構成する部品たちは:
架台
架台・ラックは、ソーラーパネルを設置する場所です。架台には、屋根の上に簡単に設置できるように、安定性、耐久性、軽量性が求められます。さらに、耐腐食性があり、何十年にもわたって風雨に耐えられるものでなければなりません。
ラックは、ソーラーパネルが受け取る太陽エネルギーの量を最大化するために、もっとも効率的な方向にソーラーパネルを傾けるのに役立ちます。最適な方向を決定するには、標高、緯度、負荷条件、地形などいろいろ計算しなければなりません。たとえば、北半球では、太陽エネルギーを最大限に受け取るためには、ソーラーアレイは南向きに設置しなければなりませんよね。
ソーラーアレイは地上に設置することもできます。地上に設置する場合は、追尾機構を追加することで、空に輝く太陽を追ってパネルを旋回させ、システム全体の効率を高めることができます。東から西に移動する1軸の追尾装置や、1日中太陽の方向を向かせる2軸のシステムもあります。追尾システムを使うと当然ながら初期費用は高くなります。
一体型ソーラーシステム
ソーラーアレイは、ラックを使用せずに建物に組み込むことができます。たとえば、屋根や窓、建物のファサードの一部に組み込むこともできるんですよ。目的は、すでにある建物の構造を利用してコストを削減し、サプライチェーンの効率を向上させることです。このようなソーラーアレイは、建物の照明、モーター、センサーに電力を供給することができます。ただ、一体型ソーラーシステムが広く普及するには、まだ技術的・商業的なバリアがあります。
インバータ
インバータは、ソーラーパネルからの直流(DC)電力を、地域の送電網で使用されている交流(AC)電力に変換する装置です。ACは、家庭内のほとんどの電化製品で使用される電力でもあります。太陽光発電システムでは、ソーラーアレイからの電力を変換するインバータを1台搭載することも、各ソーラーパネルにマイクロインバータを搭載することもできます。インバーターは1台の方がコストが安くなります。しかし、とくにソーラーパネルの1つが影に隠れてしまう恐れがある場合は、マイクロインバータの方がより効率的な場合があります。インバータの寿命は10年程度です。その後は交換する必要があります。
スマートインバータは、インバータと電力会社の電力とのやり取りを行います。これにより、電力会社が顧客の需給を把握し、需給バランスを整えることができます。その結果、送電網の安定性を高めて、停電の発生を抑えることができます。
蓄電池
蓄電池(バッテリー)があれば、太陽光発電によるエネルギーを貯蔵することができるため、日照がないときでも家庭で電力を使用することができます。また、電力会社も蓄電池を利用しています。顧客が太陽光発電した電力を電力網に送る際に、その一部を畜電池に蓄えて後で送り返すのです。畜電池を利用することで、電力網を最新にして安定化を図ることができるのです。
集光型太陽熱発電
集光型太陽熱発電(CSP)は、鏡を使って太陽エネルギーを1点に集め、熱に変換するシステムです。その熱を利用して蒸気を作り、タービンを回して発電することができます。
太陽の熱エネルギーは、発電以外にもさまざまな産業用途に利用することができるんですよ。たとえば、水の脱塩、原油の増進回収、化学製品の生産、鉱物の処理・加工、食品の加工などです。
CSPシステムは、実用規模のプロジェクトで発電するためにも使用されています。プラントはいくつかの構成物で建設することができ、太陽光発電タワー(パワータワー)はもっとも一般的なシステムです。中央のタワーを囲むように鏡を設置し、太陽エネルギーを集めます。また、鏡の上にある平行なチューブのレシーバーに熱を集中させるリニアシステムもあります。
小型のCSPシステムは、電力が必要なまさにその場所に設置することもできます。たとえば、分散型アプリケーションでは、1枚のアンテナで最大25KWの電力を生み出すことができます。
まとめ
太陽エネルギーは、ここ数年、世界中でその普及が進んでいます。米国では109GW以上の太陽光発電用設備が設置されていると推定されていて、これは1890万世帯の電力をまかなうことができるのです。過去10年間、米国の太陽光発電産業は年率約42%の成長を遂げています。家庭や企業に太陽光発電のソリューションを提供する企業が増えたことで、太陽光発電を導入することは、これまでになく簡単かつ手頃になってきてきます。